こんにちは。看護師の西岡です。
10/27土曜日に、『地域におけるHIV陽性者の長期療養支援のこれから』という研修に出かけてきまして、その伝達講習を昨日行いました。
うちのステーションは、子育てのブランクを経て訪問看護に飛び込んでくれたスタッフが複数名いるので、なるべく新しい知見に触れてもらおうと思っているのですが、今回のテーマもとても興味深く聞いてもらえたようです。

私自身も、今回の研修に参加して、HIV/AIDSに関しての、『フィラデルフィア』という映画の中でトム・ハンクスが演じたエリート弁護士のようなイメージは、完全に過去のものになっているのだなとよく理解できました。

講義の序盤で、インフルエンザや結核についてのお話もあったのですが、就学中のお子さんのいるママ達にとっては、それについても関心が高くて、検査では陰性であっても、実際には罹患しているケースもあるし、流行の時期には症状が軽かったりほとんどなかったりであっても実際には抗体ができていて、知らないうちに罹患している人も少なからずいるという話で、講義の中で先生が
『インフルエンザを疑った時点で、それはインフルエンザです!!』
と言われていた言葉をそのまま伝えたら、それがとてもインパクトに残ったようです。
子育て真っ最中スタッフのKちゃんやYちゃんは、

“実際に周りでは、予防接種に関しての知識が非常に浅いがゆえに、予防接種を行なわなかったり、また、予防接種を行なっても、症状が軽いために、学校に早めに登校してきてしまったりという現状があり、インフルエンザが蔓延する要因となっているように思います。一人一人が、正しい認識の下に行動することで、流行性の感染症を最小限に阻止することができるのではないかと思います。”

という研修後の感想を寄せてくれました。

HIV感染についても、現在は適切な服薬治療によってウイルス検出限界未満の状態を維持していれば、パートナーにHIVを感染させるリスクは非常に低いということが研究で実証されているし、医療者にとっては怖い針刺し事故においても、HIVはHBVやHCVと比べてみても、その感染力は非常に弱くて、針刺し事故において全く予防内服を行わなかった場合でも感染確率は0.3%程度、世界的にも職業的曝露によってHIV感染が確実である例は少ない、ということをしっかりと頭に叩き込んでおかなくてはと思いました。これもKちゃん・Yちゃんが寄せてくれた研修後の感想なのですが、

“いまだに日本では、HIVに対する偏見が根強いように思います。
そのため、HIVに関して全く関心を持てない人が、私たちの周りにもいるのではないかと思います。今は昔と違って、薬の開発も進み、ウイルスを抑え、感染前と同じように日常生活を過ごせるようになっているという現状を知り、大変驚きました。
訪問看護に携わる者として、関心を持つというのはもちろん、正しい知識を得た上で患者さんや周囲の人と接していくことが大事だと感じました。”

と書いてくれてありました。😊
きっときっとうちのスタッフはこの先も、自らが関心を持ってHIV/AIDSについての知識を積極的に取り入れて、正しい理解のもとに行動してくれる訪問看護師に育ってくれることと思います♪😉

ちなみに余談ですが、トム・ハンクスとデンゼル・ワシントン共演の『フィラデルフィア』は、とてもとても見応えのある素晴らしい映画です。私も大好きな作品。
それと映画化もされているミュージカル『RENT』でも主要登場人物の複数名がHIV陽性で一人はAIDSで亡くなってしまい、作品の中でこの病気の存在が大きな影を落としています。(こちらはLGBTのキャラクターが多く登場するので、人によっては、人間の感覚として、好き嫌いがはっきり分かれる作品かも、とは思いますが…、コリンズとエンジェルが『I’ll cover you』を歌う場面なんて超ハッピー
私はこういった作品を学生時代や社会人になってまだ間もない頃に観て、HIV/AIDSについてとても恐ろしい病気というイメージ・先入観をしっかり抱いてしまった世代だと思うのですが、おそらく同様の人はきっと大勢いて、現在の正しい病気に関する知識に触れることなく「恐ろしい病気」「かかったら最後、数年のうちに死に至る病気」といったイメージを持ったままの一般の人って、きっと少なからずいるんだろうなぁ、と思いました。
日々の活動や日常生活の中で、「その認識は違うのよ」って言ってあげられるチャンスが訪れたら、そのチャンスはちゃんと生かそう、と思います。